光触媒とは
光触媒とは太陽光や蛍光灯などの光が当たると、その表面に強力な酸化力(活性酸素・OHラジカル)が生まれ、接触してくる、細菌、ウィルス、カビ、化学物質、悪臭元などの有機物を二酸化炭素と水に分解する反応をいいます。1967年に東京大学工学部の本多健一氏と藤島昭氏によって生まれた日本の技術です。
光触媒作用により発生するOHラジカルは大手メーカーの空気清浄機にも使われており、その力は水道水浄化などに利用されている塩素やオゾンより強力で、薬剤やアルコールなどを使用せず、光の力のみで細菌やウィルス、化学物質などを安全かつ簡単に分解し消滅させます。
現在、私たちの身の回りでは主に、除菌、抗ウィルス、防カビ、消臭、防汚、空気浄化、防曇(曇り止め)などの目的に利用され、人体に対しても無害であることが証明されている環境にやさしいテクノロジーとして注目されています。
では何に対して光が当たるとこのような反応が起こるのでしょうか?私たちの身の回りにある木材やプラスチック、ガラスや金属、布などに単純に光が当たってもこのようなことは起こりえません。酸化チタンという物質に紫外線が当たってはじめてこのような反応が得られるのです。
酸化チタンと活性酸素OHラジカル
聞きなれない酸化チタンという言葉ですが、歯磨き粉、化粧品、日焼け止め、白色絵の具やインクの顔料、ヨーグルトやホワイトチョコレートなど白色着色料(食品添加物)等、いろいろな用途に使われており、身近に多く存在する安全無害な物質です。光触媒における主役は光と酸化チタンの2つだけといっても過言ではないでしょう。
光の力によるよく似た反応は、植物の光合成のように私たちの身近な自然界でも行われています。植物は葉に含まれる葉緑体に太陽光を受けると、光エネルギーを利用し二酸化炭素と水から炭水化物と酸素を作り出します。光合成は触媒反応の一種であり、葉に含まれる葉緑素は光触媒ということができます。
一方、酸化チタンは光に反応する半導体の一種で、シリコンなどと同様に熱や光を加えた時、一定条件のもとで電気を通す性質を持っています。一定量以上の光を酸化チタンに当てると、エネルギーが高い状態となり、電子が飛び出し、同時に電子が抜けた穴である正孔が生成されます。飛び出した電子と正孔は空気中の水や酸素と反応するとOHラジカルやスーパーオキサイドアニオンなどの活性酸素が発生します。
特にOHラジカルは強力な酸化力を持ち、接触してくる細菌やウィルス、臭いの元となるアンモニア、アセトアルデヒトなど有機物をことごとく分解し死滅させます。また薬剤の利かない耐性菌にも効果があり付着した有機物は全て水と二酸化炭素などの無害な無機物へと分解されてしまいます。
酸化チタンは通常白い粉末状で、白色の顔料として大量に生産されているごくありすれた物質です。これを液状にして壁などに吹き付ける、機械で噴霧する、塗料として塗る、フィルム状にして貼る、布などに練りこむ、タイルにコートして抗菌タイルとする、など我々の気づかない様々なところで光触媒技術は利用されております。
主な光触媒の用途と使用例
- 除菌、抗菌、防カビ
医療施設、高齢者施設、オフィス、ホテル、交通機関、レストラン、一般家屋など - 徐ウィルス、抗ウィルス
医療施設、高齢者施設、オフィス、交通機関、スポーツ施設、一般家屋、マスクなど - 消臭、脱臭
エアコン、公衆トイレ、喫煙ルーム、スポーツ施設、生ごみ処理場、魚市場など - 防汚
高層ビル外壁や大型ドームなど清掃が困難な建築物外壁、家屋外壁など - 空気浄化、水浄化
空気清浄機、道路遮音壁、道路表面、シックハウス症候群対策など - 防曇(曇り止め)
車のドアミラー、窓ガラス、ショーウィンドウ、水族館など
光触媒大型施設施工例
- 中部国際空港大型ガラス屋根
- 成田空港第一ターミナルテント屋根
- 北九州空港
- 東京駅グランルーフ
- 新幹線のぞみN700系喫煙ブース
- 東京ミッドタウン・吹き抜けガラス天井
- ルーブル美術館ガラスのピラミッド
- ポンポドゥーセンター(パリ)